"その3" からの続きです。
こちらはBSTカーボンホイールです。
標準のホイールもアルミの鍛造品ですので十分軽いです・・・・・・・
ですが、もっと軽いです!
カーボンと言うと強度的に不安を持っておられる方が沢山いらっしゃいます・・・・私もですが ^_^;
でも実際は強度のバランスを考慮して、肉厚を限界まで削り落とした各種軽合金製ホイールよりも単体重量は軽量で有るにもかかわらず、アルミやマグネシウムの2倍以上の比強度があるので、カーボンホイールは本来、もっと軽く(肉を薄く)することが可能です、つまり強度限界まで肉厚を削り落とした軽合金製ホイールと比べると、十分な安全を考慮した「余裕のある軽さ」なのです。
まっ、航空機も最新新幹線もF1のシャシ等にいたるまで、軽さと強度が必要な最先端物には必ずと言って良いほど使われてますので大丈夫です。
価格は確かに高いですが、マグの鍛造と比較すると・・・一概に高いとも言えません。
腐食しませんし、耐久性はカーボンの方が上です。・・・・ちなみにディスクローターの青いネジはチタンです。
続いてジオメトリーについて・・・
まずは、ノーマルのディメンションから
- キャスター : 25.1度
- トレール : 107.4㎜
- ステムオフセット : 30㎜
- ホイールベース : 1,429㎜
- スイングアーム長 : 542㎜
- スイングアームスロープ : 13.2度
- スイングアームピボットハイト : 446.6㎜
ざっとこんな所がスタンダード(ノーマル)のデーターです。
*このデーターはGMDコンピュートラックを使用して計測したデーターです。
前後サスペンションは無負荷の伸びきった状態での計測となりますのでメーカーの机上のデーターとは必ずしも一致しません。
キャスター角は最近のSS(スーパースポーツ)にしては大きめの数字です、ここだけ見るとSSモデルとネイキッドの中間くらいの数字です。
25度付近のキャスター角はヨーロッパのスポーツ系モデルに多いような気がします、国産SSは24度付近が多いです。
ホイールベースはR1とGSX-Rの間くらい、スイングアームはSSにしては、かなり短めですのでR1と比べるとフレーム長は5~6㎝長くなります、GMDの Sweet Number と呼ばれる理想値に近い物となります。
スイングアームのスロープ(たれ角)はスタンダードにしては、かなり大きく角度だけ見ると理想値です、ただし Sweet Number での理想スイングアーム長はもう少し短いところに有りますので542㎜のスイングアームで13.2度はスイングアームのピボットの高さが高くなります、結果これはこれでバンク開始時に若干神経質さが出ますので、乗りづらい感じが出るかもしれません。
ホモロゲーションモデルとは言え市販車としてはかなり思い切ったマスの集中化をしており、重いところが分散していない上にピボット位置を含め着座位置が高い分、重心が高くなりライダーのアクション対して過剰に敏感な反応をする傾向に有ります。
キャスター角等はその為に安定方向に振ってあるのかもしれません。
理想のディメンションを求めて・・・
スタンダードの状態でも特に不満の無いハンドリングです、印象については個人差も有るでしょうが、強いて不満を上げればライダーの意図した動きと若干リンクしない場面がある、慣れれば問題ないでしょうが意図した以上に倒れこんだり、曲がり過ぎたり、曲がらなかったり・・・・、気を抜いてダラーと走ってるとき起こりやすい気がします。
また浅いリーンアングルでは結構鋭く車体が動く割りにその後の回頭性が甘く、フルバンク時は若干ですが旋回力が弱まる気がします。
と言ったわけで、まずは重心を今よりもさらに下げたい、キャスターも立てたい。
キャスターを立てるにはフォークの突き出しを増やすのが最も簡単ですがRSV4の場合フロントフェンダーとアッパーカウルとのクリアランスが少ない為に大きくは突き出しが出来ません。
ではどうするかですが、リヤを上げればキャスターは立ちます、リヤサスペンションには車高調整が付いていますので、そんなに難しい話ではありません・・・・・しかし13度以上あるスイングアームのたれ角がもっと大きくなる、何よりも今より重心が高くなる (ーー;)
ほんじゃ如何するか・・・・
RSV4Factory だからこその、すばらしい機構が付いてます。
スイングアームピボットの位置変更です。(国産SSにも付いてるモデルが有ります)
ピボットシャフトの所の位置決めプレートを変更することによりピボットの高さが変わります。
STDが+2.5のプレートが付いてますので上下ひっくり返すと5㎜下に下がります。
余談ですがRSV4の技術講習会の時に、「ひっくり返しちゃダメよ!」って言われましたが理由がわからない?どう見ても問題なさそうです、今回はユーザーさんの了解のもと、ひっくり返してます。
でっ、ひっくり返すとディメンションがどうなるかと言いますと、フロントホイールのアクスル位置を中心に後ろ上がりにフレームが上がります。
結果フォークの突き出し、ピボットの高さとスイングアームのたれ角をほとんど変更しない状態でキャスターが立つ事となります。(シート高は高くなります)
ただしキャスターが立つとトレールも減ります、STDで107㎜有りますが安定性を維持したいので、あまり減らしたくない。
理想的にはキャスター24~24.5度、トレール105㎜、スイングアームスロープ12~13度で、ピボットの高さを10~20㎜低く出来ればシート高と重心も下がり良いかと思います。
ピボット位置変更で、ざっとキャスターが-0.5度位立ちます、ただしこのままではトレール量が少し不足します。
RSV4の場合100㎜を切らなければ危険な事はありませんが逆に言うと一般公道の使用を考えると100㎜が限界・・・
そこで必要になるのがステアリングステム。
フォークのオフセットを変更する事でトレール量を確保します。
今回はSTDステムの30㎜オフセットから27㎜オフセットに変更いたしました。
と言ったところで、結果どうなったか乗ってみました!
今まで乗ったバイクの中で最高かも!
注意)
- バイクのディメンションは一箇所変更しただけで全体のいたる所の寸法が変わります、例えばフォークの突き出しを少し変えただけでホイールベースにいたるまで変化します。
また、ある領域を超えると、ほんの数ミリの変化で大きくハンドリングが変化します、むやみに変更を加える事で危険をともなう場合も有りますので、変更を加える場合は専門のショップに任せるか、それなりの知識を持って行ってください。 - ディメンションの変更にともないサスペンション等のセッティングも必要となります。
その4から "その後" に続く
4から後・・・うまい!なんちゃって